企業のITインフラやシステムを導入・運用する際に、必ず比較されるのが「クラウド」と「オンプレミス(on-premises)」。どちらにもメリット・デメリットがあり、自社にとってどちらが適しているかを判断するには、それぞれの特徴や違いを理解することが大切です。この記事では、初心者にもわかりやすくクラウドとオンプレミスの違いを解説します。
目次
クラウドとは?
クラウドとは、サーバーやソフトウェアなどのITリソースを、インターネット経由で必要なときに必要な分だけ利用できるサービスのことです。代表的なクラウドサービスには、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などがあります。
クラウドの主な特徴
- 初期投資が少なく、月額課金制
- スピーディーに導入・拡張が可能
- 運用・保守はベンダー側が対応
- インターネット環境があればどこでも利用可能
オンプレミス(on-premises)とは?
オンプレミス(On-Premises)とは、自社内にサーバーやネットワークなどのITインフラを構築し、自社で運用・管理する形態のことです。長らく企業のITシステムの主流であり、現在でもセキュリティやカスタマイズ性の観点から採用されるケースがあります。
オンプレミスの主な特徴
- 初期コストが高く、ハードウェア購入が必要
- 社内のIT部門が運用・保守を担当
- カスタマイズ性・制御性が高い
- 物理的な施設・スペースが必要
クラウドとオンプレミスの違いを比較
以下の表で、両者の主な違いを比較してみましょう。
項目 | クラウド | オンプレミス |
---|---|---|
初期費用 | 低い(サブスクリプション) | 高い(機器購入・設置費) |
導入スピード | 数日〜数週間 | 数週間〜数ヶ月 |
運用・保守 | ベンダーが対応 | 自社で対応 |
拡張性 | 高い(スケールアップ容易) | 低め(物理制限あり) |
セキュリティ | 設定次第で高レベル | 自社の管理下で高セキュリティ |
可用性・災害対策 | データセンター側で冗長構成 | 自社でバックアップ・対策必要 |
クラウドが向いているケース
以下のような場合には、クラウドの導入が特におすすめです。
- 初期コストを抑えたいスタートアップや中小企業
- 急なアクセス増に柔軟に対応したいサービス
- リモートワーク・多拠点対応が必要な企業
- IT人材が少なく、運用管理を外部に任せたい
オンプレミスが向いているケース
オンプレミスには以下のような適した場面があります。
- 機密性の高い情報を扱う(医療・金融・官公庁など)
- 既存システムとの連携が複雑でクラウド移行が困難
- 業界規制・法令によりクラウド利用が制限される
- カスタマイズ性を重視し、独自環境を構築したい
まとめ:選ぶべきは目的と状況次第
クラウドとオンプレミス、どちらが優れているというものではなく、自社の目的や業務内容、将来展望に応じて最適な選択をすることが大切です。
- 柔軟性・拡張性・コスト効率を重視 → クラウド
- セキュリティ・制御性・法令対応を重視 → オンプレミス
それぞれの違いを理解し、必要に応じてハイブリッド型(一部クラウド+一部オンプレミス)も検討すると、より最適なITインフラ戦略が構築できます。